大学入試に異変 早慶など私立難関の志望者大幅減

産経新聞

来年の大学入試で、早稲田大や慶応大など私立難関大の志望者数が大幅に減少し、例年に比べ受験傾向が一変する見通しであることが30日、大手予備校の河合塾がまとめた入試動向で分かった。関西でも同志社大や関西学院大などの志望者数が減少した。背景には、私学助成金をめぐる文部科学省の厳格化政策があり、各大学が合格者数を絞り込んだため、受験生の間に安全志向が高まっているとみられる。

■MARCHも大幅減

 河合塾が10月下旬に実施し、全国で約31万人が参加した業界最大規模のマークシート式模擬試験(全統マーク模試)の結果を分析した。

 それによると、10月下旬現在の早大の志望者数は全学部計5万4106人で前年より7925人減少(前年比13%減)、慶大も計2万2256人で1588人減少(同7%減)した。

 上智大やMARCH(マーチ)と呼ばれる明治、青山学院、立教、中央、法政-の各大学も前年比15~9%減と大きく志望者数を減らしている。首都圏の主な大学では、前年並みだった東京理科大を除き、難関・上位大の受験生離れが顕著となっている。

 関西でも、同志社大が前年比12%減だったのをはじめ、関西学院大10%減、立命館大9%減、関西大5%減-と、関関同立と呼ばれる私立難関大がいずれも志望者減となった。

 河合塾によると、こうした傾向は12月に入ってからも続いているという。

■基準厳格化の影響

 受験傾向が一変した最大の要因は、私学助成金の不交付基準が厳格化されたことだ。

 これまで収容定員8千人以上の大学では、入学者数が定員の1.2倍以上になると助成金が全額交付されない基準があった。しかし、文科省では都市部の大規模大学に学生が集中するのを抑制するため、この基準を平成28年度は1.17倍、29年度は1.14倍、30年度は1.1倍と、段階的に厳しくした。

 この政策が各大学に与えた影響は大きく、今年行われた30年度入試では、合格者数を絞り込み過ぎて追加合格を出す大学が続出した。文科省では当初、入学定員を1人でも超過すれば助成金を減額する罰則強化策を来年(31年度)の入試から導入する方針だったが、混乱を避けるため見送った経緯もある。

 実際に河合塾の集計では、早大の30年度入試の合格者数は28年度に比べ計3444人減少、明大は計2928人減少、法政大では計5591人も減少するなど、各大学が2年間で合格者数を大きく絞り込み、難易度が一気に上がることになった。

■中堅大に人気集中

 こうした現状を踏まえた来年の入試動向について、河合塾教育情報部の岩瀬香織チーフは「合格しやすい大学を選ぶという安全志向が強まっている。とくに難関大では、ボーダーラインより下の偏差値の志望者数が減っており、いわゆるチャレンジ受験を避ける傾向にある」と話す。

 一方、中堅大ではアメリカンフットボール部員による反則タックル問題などの不祥事があった日本大が前年比26%減だったほかは、駒澤大5%増、専修大9%増などと志望者が増えた。

 特に関西では摂神追桃と呼ばれる摂南大が20%増、神戸学院大が25%増、追手門学院大が42%増、桃山学院大が37%増-と、中堅大に人気が集中している。

 岩瀬チーフは「中堅大にも成績上位層が入り込んでおり、志望のレベルを下げても合格できるわけではない」としたうえで、「私立大は日程が重ならなければ複数受験できるのだから、チャレンジ受験をあきらめるのはどうか。いわゆる滑り止めも含め、しっかりとした併願計画を立ててほしい」と話している。

■“文高理低”傾向続く

 河合塾がまとめた来年の大学入試動向では、国公立大では長期化する景気拡大を反映し、文系人気が上昇して理系は伸び悩む“文高理低”の傾向が続いていることも分かった。

 河合塾によると、東京大や京都大、東北大、九州大など旧帝国大に東京工業大などを加えた難関10大学の文系志望者数は10月下旬現在で1万8018人で、前年より424人増加した。一方、理系志望者数は2万9804人で811人減少。その他の国公立大では文・理系とも志望者数を減らしたが、文系より理系の方が減少率が大きかった。

 大学入試の志望動向は景気に左右され、民間企業への就職が好調だと文系人気が、不景気だと理系人気が高まる傾向がある。

 こうした“文高理低”に加え来年入試では、進路先が限定されるイメージのある教育・農・医療系学部の志望者数が前年比5%前後減少している。ただし河合塾では「成績上位層の志望者数は前年並みなので、難易度が下がることはないだろう」としている。